公正証書遺言は,遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授しそれに基づいて公証人が文章にまとめ公正証書遺言として作成するものです。
遺言者が遺言をする際には,どんな内容の遺言にしようかと思い悩むことも多いと思いますが,そんな場合でも,公証人が相談を受けながら,必要な助言をするなどして,遺言者にとって最善と思われる遺言書を作成していくことが可能です。
公証人は,裁判官,検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家で,正確な法律知識と豊富な経験を有していますから、,複雑な内容であっても,法律的に見てきちんと整理した内容の遺言にしますし,方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。
また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないため、相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。
さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配もありません。
しかも、公正証書遺言の場合は、遺言者が老衰等により署名することさえできなくなったときでも,公証人が遺言者の署名を代書できる旨法律で認められています。
なお,遺言者が老衰等により公証役場に出向くことが困難な場合には,公証人が,遺言者の自宅又は病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。
遺言の方式は、大きく分けて普通方式と特別方式の2種類あります。
特別方式は死期が急に迫っている場合など特殊な状況下にある場合の例外的な方式であり、普通に遺言を作成する場合は普通方式を用います。
そして、普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあるのですが、原則的には、公証人関与で方式不備にならなず、原本が公証人役場で保存され変造・滅失のおそれもなく
検認手続きが不要な公正証書遺言が最も適切でしょう。
遺言により紛争を未然に防止すべき必要性が高いのは下記1ないし5のような場合です(その他にもありますが)。
1、夫婦の間に子がいない場合
夫婦の間に子がいない場合の,法定相続分は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。
しかし,妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。そのような場合遺言が有効です。兄弟には,遺留分がありませんから,遺言さえしておけば,財産を全部る妻に残すことができます。
2,再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合
先妻の子と後妻との間では感情的になりやすく,遺産争いが起こる確率も非常に高いといわれます。
3,内縁の妻の場合
内縁の妻に相続権はありません。したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておく必要があります。
4,個人で事業を経営したり,農業をしている場合などは,その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと,上記事業の継続が困難となりますから、このような事態を招くことを避け,家業等を特定の者に承継させたい場合には,その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。もっとも、遺留分減殺請求に対する対処も必要ですが。
5、相続人がいない場合
相続人がいない場合には,原則として、遺産は国庫に帰属します。
したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会等に寄付したいち思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。
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遺言は,被相続人が生涯をかけて築き上げた財産を,最も有効に活用してもらうために行う,遺言者の意思表示です。
世の中では,遺言がないために,相続を巡り親族間で争いの起こることが多く、その紛争は感情的なもつれによるものも多く、遺産分割調停が長引くことが多いです。
遺言は,上記のような紛争を防止するため,遺言者自らが,自分の残した財産の帰属を決め,相続を巡る争いを防止しようとすることに主たる目的があります。
遺言のない場合,民法が相続人の相続分を定めています。
そのため、これに従って遺産を分けることになります。
しかし、民法は「子及び配偶者が相続人であるときは,子の相続分及び配偶者の相続分は,各2分の1とする。」というように,相続分の割合を定めているだけなので(民法900条参照),遺産の帰属を具体的に決めるためには,相続人全員で遺産分割の協議をして決めなければなりません。
ところが,自主的に協議をまとめるのは,容易なことではありません。
協議がまとまらない場合には,家庭裁判所で,調停又は審判で解決してもらうことになります。
しかし、前記のとおり、これも,争いが深刻化して,解決が困難になる事例が後を絶ちません。
これに対して、遺言で,妻には自宅、長男にはマンション,二男には別の土地といったように具体的に決めておけば,争いを未然に防ぐことができるわけです。
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通常、日本では葬儀費用は被相続人の遺産の中から支払われます。
このような場合、相続人全員の同意により、葬儀費用を差し引いた遺産を対象として遺産分割が行われます。
しかし、相続人の一人がこのような遺産分割に反対すればどうなるのでしょうか。
葬儀費用の負担者については、様々な見解があり、共同相続人間で分割されるとの見解、相続財産から負担すべきとする見解、喪主が負担すべきとの見解が代表的なものでしょうか。
裁判例も統一されておらず、判断が難しいところではありますが、裁判例の中には喪主が負担すべきと判示するものもあり、最終的には喪主が全て負担するという結論になる場合もあるでしょう。
感覚的には、遺産から捻出すべきとするのが日本の慣習にも合致しており、適切なような気もしますが。
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新しい「非訟事件手続法」が平成23年5月19日成立(同月25日発布)し、平成25年1月1日から施行され、電話会議システムの利用が可能になりました。
ところが、施行前の事件については、旧法が適用され、その結果、電話会議システムは利用できません。
何故遡及適用されないのか、疑問です...
今回は、ペイオフと贈与税について。
銀行に2000万円の定期預金がある場合、ペイオフによる保護は1000万円であるため、自衛手段として当該2000万円のうち1000万円を子供名義にするといった手法がとられることがあるようです。
しかし、1000万円を子供に贈与すると、当然贈与税がかかってきます。
他方、贈与ではなく単なる名義の書換にとどめる場合、預金保険制度の下では「他人名義預金」とされ、保護の対象にはなりません。
そこで、このような手段は、ペイオフ対策としては、実は好ましいものではありません。
そこで、ペイオフ対策としては、複数の銀行に1000万円を限度として預け替えたり、ペイオフの全額保護の対象となっている普通預金等に預け替えるなどといった手段が有効とされています。
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朝日新聞デジタルからの記事です。
「認知症だった呉服店経営者の女性が、相談していた80代の弁護士に5億円超の遺産を贈与するとした遺言書について、女性のめいが無効を求めた訴訟の判決があり、京都地裁が請求を認めた。判決は11日付。判決によると、女性は預貯金約3億2700万円と呉服店の株式(約2億円相当)、土地建物(約1700万円相当)の財産を所有。2003年2月から弁護士と十数回打ち合わせ、同年12月、「私のいさんは後のことをすべておまかせしている弁ご士にいぞうします」と遺言書を作成。05年10月に法務局に遺言書が自分のものと申告し、09年2月に92歳で死亡した。橋詰均裁判長は、遺言書の作成時点は「初期認知症の段階にあった」と判断。5億円超の遺産贈与には高度の精神能力を要するとした上で、「縁のある親戚に対し、預金さえも全く残そうとせず、赤の他人に全遺産を贈与しようというのは奇異なこと」とした。」
これには法律上の問題だけでなく、弁護士倫理上も多くの問題点がありますね。
弁護士が依頼者から遺贈を受けるということ自体大きな問題であることに間違いはないでしょう。
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長年住んでいる借家の貸主から、突然、賃料を値上げすると言われ、貸主が、値上げした賃料の金額でなければ受け取らないと言っている場合、どのように対処すべきでしょうか。今後土地の地価が上がり、固定資産税が増額される等された場合には、このようなトラブルが発生する可能性があります。
この点について、借地借家法32条1項(旧借家法7条1項)は、「建物の借賃が、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」と定めています。つまり、賃貸借契約書に賃料値上げについての取り決めがなくても、当然に賃料増額請求が可能ということです。
もっとも、通常はこのような請求の前には貸主と借主の間で話し合いが行われます。
そうはいっても、借主としては、値上げについて了承しない場合が多いですから、貸主は増額の理由を説明し、了承を得るように説得することになるでしょう。
このような裁判外での説得等が功を奏しない場合は、貸主は、簡易裁判所へ賃料増額の調停を申し立てることができます。
賃料の増額については、調停前置主義といって、話し合いがつかないと思ってもいきなり裁判を提起することはできず、必ず最初に調停の申立をすることになっています。
調停の中で借主と合意できれば、その金額が新たな賃料となります。合意が得られなければ、裁判を提起することになります。
調停委員会や裁判所では、審理の上、適正な賃料を決定しますが、「適正」賃料は、賃料事例を比較したり、物価変動率をスライドしたり、適正利潤率を考慮して算出し、調整の上、決定されます。
借主は、賃料の値上げを巡って貸主と争っているとき、従前の賃料または自分が妥当と考える新賃料を供託することができます。
供託をすることによって賃料不払いの責任を免れることになりますので、賃料不払いを理由に立ち退きを迫られる心配はなくなります。
農地以外のものに使用するために行われる農地売買は、原則として、都道府県知事の許可が必要とされており、かかる許可なく行われた農地売買は効力を生じません。
農地の売主が行方不明等になっており、農地法所定の許可申請ができない場合等には、農地売買は効力を生じません。
しかし、判例によれば、農地の売買代金が支払い済みであり、その引渡しも受けている場合には、所有の意思をもってその占有を開始したものと認められ、10年または20年の占有によって時効取得することが可能です(判例)。
なお、この場合、農地の所有権を取得した買主は農地委員会に遅滞なく届け出る必要があります。
いずれにせよ、農地であっても時効取得が可能ということです。
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道路等の公共用財産は、何年占有していても原則として時効取得はできません。
したがって、例えば、自宅の塀の一部が道路にはみ出してしまっている場合等には、当該道路の管理者から塀の撤去を求められたとき、原則として撤去に応じる必要があります。
しかし、当該財産が公共の用に供されていない場合及び公共の用に供されていたが事後的に廃止された場合(黙示的に廃止された場合も含む)には、時効取得することが可能です。
具体的には、長年公共の用に使用されることがなくっており、公共用財産としての形態、機能を全く喪失している場合をいいます(判例)。
したがって、占有開始時点で既に道路が事実上全く使用されておらず、道路としての形態、機能を全く喪失しているような場合には、時効取得が可能ということになるでしょう。
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今回は、平成18年から施行されている筆界特定制度 についてご説明します。
筆界特定制度とは,土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて,筆界特定登記官が,外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて,現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。
筆界特定は,新たに筆界を決めることではなく,実地調査や測量を含む様々な調査を行った上,もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにすることです。
筆界特定制度を活用することによって,公的な判断として筆界を明らかにできるため,隣人同士で裁判をしなくても筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。
なお、筆界特定制度は,土地の所有権がどこまであるのかを特定することを目的とするものではありません。
また、筆界特定の結果に納得することができないときは,後から裁判で争うこともできます。
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大阪の正森三博法律事務所・事務局です。
先日、法務局で不動産の登記事項証明書を申請した際、手数料が安くなっていたので驚きました。
平成25年4月1日から手数料が改定されており、不動産や商業・法人の登記事項証明書を書面で請求する場合であれば、以前より100円安く、600円で取得できるようになったそうです。
以前は1通1000円でしたので、かなり安くなったなぁ、という感じがします。
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日本経済新聞社から、
職務・時間限定の正社員について興味深い記事がありましたので、簡単にご紹介します。
「内閣府の有識者会合は、4月9日、日本の経済成長に向けた人材の育成や活用についての提言を発表しました。
当該提案は、
時間や仕事内容を限定した正社員制度を広げて多様な人材が安定的に働けるようにすること、
職業ごとに力量を評価する制度をつくることで、
専門能力を持つ人材の自由な転職や再就職を促すこと、
労働者の数を増やすとともに、生産性を高めて経済を押し上げ
ることを内容としています。
提言では、教育訓練を受ける機会が乏しい非正規雇用が増えると生産性が上がりにくくなると指摘し、
雇用が安定した正社員を増やすことを訴えます。
ただ子どもや家庭の都合で通常の正社員として働きにくい人が多いことから、
勤務の時間や地域、仕事内容を限定した正社員を増やすことを提案しております。
衰退産業から成長産業への労働者の移動に向けては、
環境・エネルギーや医薬品、
医療機器の製造業のほか、
金融や情報通信など、
生産性の高い分野を伸ばして雇用を拡大することが重要で、
労働者の移動を円滑に進めるために、
職務ごとに能力を評価する企業横断型の制度を整えることを提案しました。
解雇規制の緩和については「できるだけ失業を経ないで労働移動することを目指すべきだ」と慎重な姿勢を示したましたが、
これは、安定的な雇用が能力の開発につながるほか、「(転職のための)市場が十分発展していない」ためだとされています。
非正規雇用の増加については、正社員との賃金格差の総額が2000年に3兆1643億円と10年間で2倍に拡大したと試算しており、
これは、名目GDP(国内総生産)の0.63%に達する額で、消費の縮小を通じて経済全体の押し下げ要因になっていることを指摘しています。」
以上が提言の内容ですが、解雇規制の緩和については、以前から議論が盛んですね。
米シリコンバレー企業が典型ですが、転職市場が発展すれば、労働力の新陳代謝が盛んになり、
生産性向上につながるという議論はそれなりに説得力があると思われます。
様々なタイプの正社員が増え、ワークスタイルも多様化すれば、
現在眠っている日本の労働力を積極的に活用することが出来ます。
労働者にとっても転職しやすい環境が整備されることになり、
解雇を過度に心配することも(現在よりは)減るでしょう。
企業としても、解雇規制の緩和を主張しやすい環境となります。
もちろん、このような労働市場が日本に相応いいか否かという点については様々な意見があるところですが、
終身雇用制の崩壊、経済成長の停滞など、
従来の方法では乗り越えることの出来ない壁が立ちはだかっていることは、
間違いないでしょう。
労働契約法改正、正社員増加政策、そしていわゆるアベノミクスと、様々な政策の下、今後日本の経済が発展していけば良いですね。
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少し前の判例ですが、紹介致します。
事案の概要
平成16年12月、オートロックのない7階建て分譲マンションで「日本共産党都議会報告」等4種のビラ(以下、「本件ビラ」という。)などを各部屋のドアポストに投函するために廊下等の共用部分に立ち入った行為(以下、「本件立入り行為」という。)が刑法130条前段の住居侵入罪に問われたもので、被告人側は「本件立入り行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反する」と主張していました。なお、このマンションは、玄関ホール南側の掲示板に、管理組合(以下、「本件管理組合」という。)名義で「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます」「当マンションの敷地内に立ち入り、パンフレットの投函、物品販売などを行うことは厳禁です。」などと張り紙をし、管理組合規約でも葛飾区の広報を除くチラシ、ビラ、パンフレット類の集合ポストへの投函を禁止していました。
裁判要旨
分譲マンションの各住戸のドアポストにビラ等を投かんする目的で、同マンションの集合ポストと掲示板が設置された玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に立ち入った行為は、同マンションの構造及び管理状況、そのような目的での立入りを禁じたはり紙が玄関ホールの掲示板にちょう付されていた状況などの本件事実関係(判文参照)の下では、同マンションの管理組合の意思に反するものであり、刑法130条前段の罪が成立する。
分譲マンションの各住戸のドアポストに政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で、同マンションの玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に、同マンションの管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しない。
本件マンションの構造及び管理状況、玄関ホール内の状況、上記はり紙の記載内容、本件立入りの目的などからみて、本件立入り行為が本件管理組合の意思に反するものであることは明らかであり、被告人もこれを認識していたものと認められる。そして、本件マンションは分譲マンションであり、本件立入り行為の態様は玄関内東側ドアを開けて7階から3階までの本件マンションの廊下等に立ち入ったというものであることなどに照らすと、法益侵害の程度が極めて軽微なものであったということはできず、他に犯罪の成立を阻却すべき事情は認められないから、本件立入り行為について刑法130条前段の罪が成立するというべきである。
なお、表現の自由との関係については、「憲法21条1項も、表現の自由を絶対的に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表する手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである」と指摘しております。
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2013.4.15
被後見人に選挙権付与 自公、法改正案提出へ調整
自民、公明両党は13日、成年後見人が付いた人は選挙権を失うとした公職選挙法の規定を削除し、被後見人に選挙権を与える同法改正案を議員立法で今国会に提出する調整に入ったそうです。
3月に東京地裁が同規定を違憲としたことを踏まえた措置だと思われます。
国はすでに東京高裁に控訴していますが、公明党は法改正を強く求めているようです。
自公両党は公明党が提案している被後見人に選挙権を一律に与える案を軸に検討していますが、ただ、自民党内には不正投票を懸念し、一律付与ではなく一定の条件を課すべきだとの声もあるため、具体的な付与の仕方は今後詰める模様です。
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2013.4.13
未払賃金と役員等の第三者責任(会社法429条1項)
最近非常に多い未払残業代請求ですが、その時効期間は2年です。
そこで、この時効の壁を乗り越えるべく様々な法律構成が考えられています。
民法709条の不法行為責任を追求し得ることは前回も述べたとおりですが、その他にも、
会社法429条1項は、
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う、
と規定しており、要件さえ充足すれば、会社法429条1項に基づく損害賠償請求も可能ということになるでしょう。
そして、当該損害賠償請求権の消滅時効期間は10年と解されていますから、仮にこのような請求が認められれば、会社に対する損害賠償請求では到底認容され得なかった金額が認容され得ることになります。
また、同請求権の対象は役員という個人ですが、悪意又は重過失ある役員等は全て連帯責任を負いますので、無資力の危険もある程度は緩和されるかもしれません(もちろん、ケース・バイ・ケースですが)。
一番の問題は、やはり悪意又は重過失の点だと思いますが、この点については、裁判例の集積を待つ他ないでしょう。
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(現行)
一時保護の期間は,原則として,一時保護を開始した日から2か月を超えてはならないが,児童相談所長等において必要があると認めるときは,引き続き一時保護を行うことができる。
(改正後)〔児童福祉法第33条〕
2か月を超える親権者等の同意のない一時保護については,その延長の是非について,第三者機関である児童福祉審議会の意見を聴く。
(現行)
・親権を行う者は,子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う。
・親権を行う者は,必要な範囲内で自らその子を懲戒し,又は家庭裁判所の許可を得て,これを懲戒場に入れることができる。
・親子の面会交流等についての明文規定がない。
(改正後)〔民法第766条,第820条,第822条〕
・親権を行う者は,子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う。
・親権を行う者は,子の利益のために行われる子の監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
(懲戒場に関する部分は削除)
・離婚後の子の監護に関する事項として親子の面会交流等を明示。
(現行)
施設入所中の児童に親権者等がいない場合には,施設長が親権を代行するが,里親等委託中又は一時保護中の親権者等がいない児童については,親権を代行する者がいない。
(改正後)〔児童福祉法第33条の2〕
里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には, 児童相談所長が親権を代行する。